バッテリー
中学入学を控えたひとりの野球少年。春休みの出来事を描いた作品。
ズバ抜けた投手の才能を持つがゆえに周囲との馴れ合いを嫌い、
孤高を守ってきた少年が引っ越しを機会に次第に変化してゆく。
新しい町で心ゆるせる友人を得て、少年は最も身近な弟のこと
ですらなにも理解していなかった自分を発見し、ひとつ成長する。
帯に「これは本当に児童書なのか!?」とあるように小学校高学年
向けの小説だが、作品中には大人が体面を保つためのすり替えら
れたエゴの矢面で傷ついてゆく少年の心がストレートに表現され
て考えさせられる。
むしろ、かつては少年であった大人に読ませたい。
バッテリー
あさのあつこ
角川文庫(ISBN4-04-372101-3)