バッテリー III
野球部は謹慎処分を経て活動を再開する。監督の戸村は謹慎処分で夏
の大会に出場できなかった3年生に県内の強豪校と試合をさせようと
紅白戦までするが、学校は認めない。主将の海音寺の一案で強豪校の
門脇に直接勝負を挑むことになった巧と豪。
門脇と一打席勝負。巧は渾身のストレートで門脇から空振りを奪うが
キャッチャーの豪がボールをはじいて捕れない。迷ったまま投げた次
のボールはホームラン。打たれた巧より大事なところで信用されな
かったことに豪は傷つく。一方の野球部は門脇のはからいで強豪校の
横手との試合が実現する。
始めての試合場面が3巻になって紅白戦だけど登場する。
絶対服従の鬼監督のしたで無表情だった部員の心情が事故をきっかけ
に現になり、戸村の心も教師と監督の立場で大きく揺れる。児童書の
バッテリーだけど、小学生がついて来れているとは思えない、中学
2〜3年くらい向きだと感じるけど、どうなんだろう?
それにしてもあさのさんは野球をよく勉強していると思う。作品を
読んでいて感じるのは文献だけじゃなく野球経験者から活きた情報を
取りこんでいるんだな。と、そう思わせる文章を書く。逆に1巻の解
説はひどいものだ。チームスポーツの経験がないことは容易に想像で
きるが、言葉のひとつひとつも某BBSからの借り物ばかり。この人に
サッカー本の解説を書かせたら、
「キーパーはボールが飛んで来るまでヒマでラクなポジション」
とでも書くんだろうな。なんでこの人に解説書かせたんだ?
ところで、3巻を読んでいて気が付いたんだけど、原田(巧)と永倉
(豪)は新撰組の佐之助と新八から?
同時収録の「樹下の少年」は青波の視点から見たバッテリーの世界。
バッテリー III / あさのあつこ
角川文庫 ISBN4-04-372103-X